来 歴

昨日と明日の間


牡丹色に開く
まぶしい夢など見るはずがない
愛は不毛だと言い切り
腐った果実の中で
つかのままどろんだあと
次のくらやみまで
あとも見ずに駆け出した
そんな日々があるだけだ
こんなにやわらかく
ふるえ続けているはずがない
錆びたブリキかんで
湿った砂を掘り
どうしたって
清冽な水脈に出あうまで
塩からい汗をこぼしていた
そんな日々があるだけだ

こんなに明るく
何もかも溶けてしまうはずがない
がっちり根をおろして
自分が伸びる分だけ
自分の内部を伸ばす
ポプラの巨木に追いつくため
魂をいつも引きしぼっていた
そんな日々があるだけだ

けれどもどうかすると
視野のどこにも
光の射し込まない日があって
裸の思考が宙を見つめていたりする
また違う日は向日葵の目
時間を通過させる金色の宝冠
また次の日は
こちらを監視するすきとおった金網
その中で眠たげに腕を組む日
何かの証しに腕と腕を組む日
遠くの方で
力もなく腕を垂れている日
重たいまぶたが床に落ちる日もある

日日変幻 目次